2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

法悦の詩、詩人の魂

さて、前回は、イヴ・ボヌフォワ「バロックの幻惑 : 1630年のローマ」(島崎ひとみ訳、 国書刊行会、1998)を取りあげて、カント的な「表象の生産者」としての主体の誕生する前に、まずはルネサンス的なミクロコスモスの崩壊があり、そこで生じる虚無と、そし…

階段落ち

「形態の遊びやアナモルフォーズを始めとする手法へのバロック的回帰は、芸術的探求の真の意味を再度確立するための努力である、と私は思います。芸術家たちは線の特性の発見に没頭し、どう考えてよいか解らないところにあるもの、つまりまさしくどこにもな…

雪月花

春の宵の月に浮かれていたのが二日前、今日は今日とて霧雨のような粉雪の舞うろくでもない一日だったわけですが、皆様いかがお過ごしでしょう。 さて、前回は坂部恵先生の「ヨーロッパ精神史入門 カロリング・ルネサンスの残光」(岩波書店、1997)をとりあげ…

遠く離れた月下界で

あまりにうららかな陽気に満月と、実に素晴らしい一日を、例によって河原でぼうっとしながら満喫していたわけですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。 こういう日は、寒さによって隔てられていた自分と自然が、微妙に境界線をなくしますし、ついでに意識…