2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

5 神の属性から人間の本質へ

というわけで、前回は第二種の認識、第三種の認識について話をしてきたのでした。今回は、じゃあそれはどのように使われるものなのか、というところから話を始めよう、と、クリストフォリーニさんはいいます。それは第三部、人間の感情ないし情念について論…

4 想像力から学知へ

さて、ほかの「道程」とちがって、この第四の道程はとっても短く、一部の例外を除いてほぼ『エチカ』第二部定理40備考2に絞ってお送りします、と、クリストフォリーニさん。見事な割り切り具合です。 というわけで、浅学非才の身としては、まずはてっとりば…

3 身体から想像力の力能へ

今回、この想像力の議論を以て、クリストフォリーニさんの議論はその真骨頂の一端を示してくれることになります。こうした「スピノザにおける想像力の称揚」という議論は、同郷の先輩ネグリ以来で、もしかしてイタリアの伝統なのかしら、と思ってしまうくら…

2 無限から有限へ

さて、前回は、スピノザの構成主義、とでもいうべきまとめで、ちょっと強引に『エチカ』のある種の欠点を救ってみようと試みたクリストフォリーニさんの見解をまとめてみたのでした。それを、わたくしは「最初の簡単な道具と、その展開、あるいはその持つ構…

1 知性(知的認識)から定義へ

「鉄を鍛えるためにはハンマーが必要であり、ハンマーを手に入れるためにはそれを作らねばならず、そのためには他のハンマーと他の道具が必要であり、これを有するためにはまた他の道具を要し、このようにして無限に進む。しかしこうした仕方で、人間に鉄を…

証城寺の屋上

「この熱情を支配し、自然の支配と、自然に対する人間の力の拡大に向かって努力する賢者、彼にとって、この世界が罪の泥濘ではなく、己れの活動の場所として存在し、更に又、己れの力の享受と発展のために存在するところの賢者---この賢者は、物理的世界を己…