2005-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ドリル式無意識

前回から、キャシー・カルースの「トラウマ・物語・歴史 持ち主なき出来事」を見てきました。原題は"Unclaimed Experience"。その経験を自分のものとして主張するのなら、それは歴史的言語に、あるいは自分の権利として要求するなら法的言語に。訳者の下河辺…

クレイマー、クレイマー

「去年の学生がおぼえたのと同じ内容をどうして今年もおぼえなきゃならないんだ」 「それは去年の学生が完全にはおぼえなかったからじゃないか?」 「そうか・・・」 「そしてオレたちもおぼえきれないから来年の学生も・・・」 こうして横の連帯感と同時に…

無意識保険

「保険は言語のように無意識を構造化するだろうか」 ラカンのパロディで、時々考えることです。このブルンナーさんの論文にも出ていますが、たとえばしばしばPTSDの症状の一つとして紹介されるフラッシュバックはテレビ等々で本当に技術的な意味で使われる「…

脊髄震盪?

さて、前回は、前世紀半ば、鉄道事故の補償をめぐってトラウマという問題が浮上したのだ、というはなしをしました。もちろん事故が起きれば、そりゃ怪我もするし、神経系の損傷も起こすかもしれず、そしたらなにか身体症状が出てもおかしくはない。でも、そ…

鉄道

先日も痛ましい鉄道事故がありました。ふだんよく見知っている大学の、それもまだ若い学生さんも多かったということで、ひときわ心の痛む事故でした。亡くなられた方々には心からのおくやみを申し上げます。 同時に、生き残った方々の、いわゆる心のケア、と…

自分の死にすら気づくまい

子供の頃疑問に思っていたのに、結局解消することないまま大人になってしまった問題というのはいくつかあるものですが、わたくしにとってそのひとつは、漫才のオール巨人阪神さん、あれ、大男の巨人さんの半分くらいしかない小男だから阪神=半身だよね?とい…

最初のヴァーチャル人間

精神分析の経験はヒステリーからはじまりました。 と話を始めるのは、もうすっかり定番なのですが、まあ何度強調してもしすぎることはないでしょう。 簡単に言えばそれは、意識と身体の(ラカン風にいえば、肉と皮の)あいだに、もう一枚なにか違うレイヤーと…