2006-01-01から1年間の記事一覧

ことばの下のことば(4)

さて、長々と続いたジャン・スタロバンスキーの「ソシュールのアナグラム 語の下に潜む語」(金澤忠信訳、水声社、2006)も今回で一応のオチ、ということで、最後は精神分析的な立場からの考察、というより見通しを触れておきましょう。二つめの搦め手、テレパ…

ことばの下のことば(3)

さて、前回、前々回から扱っている、いよいよ邦訳なったジャン・スタロバンスキーの「ソシュールのアナグラム 語の下に潜む語」(金澤忠信訳、水声社、2006)でございますが、前回は、ソシュールが「アナグラムの作法はきっと詩人達の間に密かにしかし明示的に…

ことばの下のことば(2)

さて、そんなわけで、先日来お話ししているジャン・スタロバンスキーの「ソシュールのアナグラム 語の下に潜む語」(金澤忠信訳、水声社、2006)について、まずは少しずつ読んでいってみましょう。もっとも、1971年刊行のこの著作、けっして分量が多いわけでな…

ことばの下のことば(1)

散歩がてら、川沿いの道を下って近所のホームセンターまで出かけてみました。 4月最初の週末のホームセンターはひどく混み合っていました。それもちょっと変わった客層で。微妙に身の丈に合わないコートを着た若者と、その親とおぼしき二人連れがたくさん。…

いったりきたりをくりかえしちゃう?

前回、前々回からお話ししている、ラカンのセミネール第16巻ですが、ま、そういうわけで、結局このタイトル、"D'un Autre à l'autre"訳せそうに見えて実は素直に訳せない、困ったタイトルだ、というオチになってしまうわけでした。。。 うん、院生時代に哲学…

大文字小文字

というわけで、前回は発売されて間もないラカンのセミネール第16巻"D'un Autre à l'autre"のタイトルについて、あり得べき邦題をああでもないこうでもないと考えてきたのでした。議論を展開させていくと困ったことに、ある箇所の叙述において、un autreなの…

重箱の隅

ここのところハイペースで刊行の続いているラカンのセミネール、3月2日には第16巻、"D'un Autre à l'autre"も発売になりました。 この講義の発売はちょっと嬉しいニュースでもあります。いえ、別にこの講義に特別思い入れがあるとか、そういうことではありま…

声の記憶

さて、前回、前々回と、信じるという言葉の使い方二種に対するラカンの考察を検討し、補助線としてフロイトおよびラカンのいうパラノイアの構造としての他者への不信、という話をしてきたのでした。 さしあたり問題は、「精神病においては、主体は諸々の声・…

不信人物

前回は、ラカンのcroire aとy croireの違いについてのご高説をうんうん言いながらひねくり回して、とりあえず関係しそうな箇所を拾っていったのでした。クワクワクワクワいっててまるでアヒルのようです。 女への愛と狂気が輻輳するこの論述、解きほぐしてい…

信じるということ

というと、なにやらジジェク先生に似たような名前の本があったような気がしますが、今回は別にレーニンだったりパウロだったりと最近流行の話題とは関係ございません。というか、あの辺の話題はマルクス主義にもキリスト教にも知識見識のない我が身が悲しく…

ぱーちーぱーちー

さて、ハイデッガーの退屈論の二番目はパーティーでした。親しい友人、美味しい食事、綺麗な音楽、食後の葉巻・・・何一つ退屈なところがなく、満足して帰路に就きます。でも、、あとから振り返れば私はやはり退屈していたのだ、ということ。「或る種の空虚…

ドナドナ

仕事の都合、それなりに電車に乗る機会はあります。 とはいえ、暇を潰すのになんら苦労するタイプではない(というか、どんな場所でもどんな短時間でも瞑想妄想夢想居眠りへのコースへ転落するのに困ったことはない)ため、あまり気にも留めなかったのですが、…

迫るショッカー

前回までは、まあ言ってみれば改造人間の話がちょっと暗く煮詰まってきたところだったわけですから、気分転換にちょっとした小ネタを紹介してまとめにしましょう。ネタの提供元はR大のM先生。お世話になっております。いちおうこちらで解説がてら、クライン…

人生設計

さて、東先生の著作ですっかりおなじみになった「動物化」という概念ですが、ここはコジェーヴの転向前のオリジナルモデルのアメリカモデルを参照しましょう。で、その順序をひっくり返して整理してみることにしましょう。 さて、ほんでは動物とは何か、と考…

ほんとのわたし

さて、前回は 「原材料(学生)を仕入れ、加工して製品に仕上げ、卒業証書という保証書をつけ企業へ出す。これが産学連携だ」という某えらいひとの発言を元に、大学教育における工場モデルとサービス業モデルの融合について考えていこうと話を切り出したので…

よ、労働者諸君

画像は「僕の見た秩序」さんからお借りしております。 さて、冒頭からいきなりなんなの?なによ?という感じですが、うん、ネットの世界ではこの妙に唐突なぶっとび感あふれるポスターで有名になった日本郵船さま、この名前、最近またちょっと聞く機会があっ…